Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのきゃく
深夜の客
大倉 燁子
Lesen Sie 深夜の客 (しんやのきゃく) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.926 Zeichen · 28 Bildschirme
見給え、この列車にも多勢刑事が張り込んでるぞ」
「まあ、いやだ!――じゃこの列車に怪しい人が乗っているんでしょうか?」
「と、でも――、睨んでいるんだろうな」
「気味が悪いわねえ。そんな事仰しゃると、皆さんのお顔が恐しく見えますわ」
「冗談じゃない。尾越は女のような優男だ。顔ばかりでなく、悪人だがどこか優しいところがあるとみえて一仕事やるとね、早速ニュースに出た哀れな家庭へ現われて、ほどこして行くんだ。だからみんな彼を庇護って、故意と違った人相を云ったりするもんだから、捕えるには随分骨が祈れたそうだよ。もう一つ、尾越が普通の強盗と異っていた点は、押入る家が、必ず不正な事をやって金をこしらえた富豪連中と定っていたことだ」
「どうして、貴方はそんなに委しく知っていらっしゃるの? 新聞にはまだ何も出ていませんわねえ」
「あの当時、僕は司法官だったからね、裁判所に始終出入りしていたので知っているんだよ」
「同じ強盗でも、どうして尾越だけはあんなに人気があるのかと不思議に思っていましたが、やはり異ったところがあるからですわねえ」
汽車は無事に沼津に着いた。
プラットフォームに降りた洋子は、そこに有松の姿を見ないのをいささか意外に思った。