Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅうかんそうわ
清修館挿話
林 芙美子
Lesen Sie 清修館挿話 (せいしゅうかんそうわ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.062 Zeichen · 20 Bildschirme
なぞ何か安直な肩の張らない店が、煤けて並んでいました。
大変いゝお天気です。空には飛行機が、ブンブン唸つて、五色の広告をヒラヒラ撒いている様子でありました。
「あのウ、一寸おうかゞいいたしますけれど……」
街路樹の下を、詩をぎんじて歩いていた谷村さんは、田舎の厨でよく聞くこほろぎの声のように凉し気な女の人の声を耳にして、ハッと立ち止まつて振り返りました。
「あのウ……六十一番地の清修館と云う下宿を御存じでいらつしやいませんでしようか?」
清修館、何か聞いたような……谷村さんは首筋を赤くして考えました。
女のひとは、長めな断髪で、手には大きな紅色の風呂敷包みを二ツもかゝえていました。
「清修館?」
「ハア!」
「清修館と云うと……」
「あのウ、何でも郵便局と八幡様がありますそうで……」
谷村さんは急に、体中がジンジンと熱くなつて来ました。
「イヤア! そうだ、それは、そのウ、よく知つています」
「まあ、左様でございますか、小さい下宿屋さんだつて聞いていたのですが、此の辺は初めてだもので、見当がつきませんの」
「御案内しましよう」
「マア、それは、でも……御道順でございますか?」