Japanische Klassiker mit Furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Lesen Sie 清貧の書 (せいひんのしょ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.061 Zeichen · 36 Bildschirme
と、書いてよこした。私は蒲団の中から出た母の手紙を見ると何ほどか恥ずかしい思いであった。上流の人達と云うものは、恥ずかしいと云う観念が薄いと云う事を聞いているけれど――母親であるゆえ、下ざまの者だから、なおさら恥ずかしいと思うまいと心がけても、枕の事は、今までに送ってもらっているとするならば、私はもう三ツ新しい枕を男のためにねだっている事になる。そう考えてゆくと、ジンとするほどな、悲しい恥ずかしさが湧いて来た。
そのころ、与一は木綿の掛蒲団一枚と熟柿のような、蕎麦殻のはいった枕を一ツ持っていた。私は枕がないので、座蒲団を二ツに折って用いていたので、そう不自由ではなかったが、目立ってその座蒲団がピカピカ汚れて来るのが苦痛であった。それで枕は二ツいるのだろうと云って寄こした母の心づかいに対して、私は二ツ返事で欲しかったのではあったが、枕は一ツでよいと云う風な、少々ばかり呆やけさせた思わせ振りを書き送ってやったのである。すると最も田舎風な、黒塗りの枕を私は一ツ手にした。死んだ祖母の枕ででもあったのであろうが、小枕が非常に高いせいか、寝ているのか起きているのか判らないほど、その枕はひどく私の首にぴったりとしない。