Japanische Klassiker mit Furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Lesen Sie 清貧の書 (せいひんのしょ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.061 Zeichen · 36 Bildschirme
「今時、溺れるものが無ければ生きて行けないなんて、ゼイタクな気持ちは清算しなければいけないんだ。全く食えないんだから……」
「食わなくったって、溺れていた方がいいじゃないの……」
「君はいったい何日位飢える修養が積ンであるのかね、まさか一年も続くまい」
八
清朗な日が続いた。
井戸端に植えておいた三ツ葉の根から、薄い小米のような白い花が咲いた。
壁のモジリアニも、ユトリオもディフィも、おそろしく退屈な色に褪めてしまって、私は、与一が毎朝出掛けて行くと、一日中呆んやり庭で暮らした。
人気のない部屋の空気と云うものはいつも坐っている肩の上から人の手のように重くのしかかって来る。まして家具もなく、壁の多い部屋の中は、昼間でも退屈で淋しい。
青い空だ。
白米のような三ツ葉の花が、ぬるく揺れている。
「小母さんはどうして帯をしないのウ」
蛙の唄をうたった小里氏の男の子が、こまっしゃくれた首の曲げ方をして、私の腰のあたりを不思議そうに見ている。
「小母さんは帯をすると、頭が痛くなるからねえ」
「フン、――僕のお父ちゃんも頭が痛いの」
私は、青と黄で捻ったしで紐で前を合わせていた。