Japanische Klassiker mit Furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Lesen Sie 清貧の書 (せいひんのしょ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.061 Zeichen · 36 Bildschirme
いま、「割ってごらんよ」といわれると、中味が銅貨ばかりである事を知っている私は、何としても引込みがつかなく白状していった。
「割ってもいいのよ、だけれど……本当はもう銅貨ばかりになっていますよ」
「銅貨だって金だよ、少し重いから弐参拾銭はあるだろう」
この男は、精神不感性ででもあるのかも知れない。風が吹いたほどにも眼の色を動かさないで、茶を呑んでいた。
「金と云うものは溜らぬものさ、――ああとうとう雨だぜ、オイ、弱ったね」
私は元気よく、柱へ地獄壺を打ちつけた。
ひめくりは六月十五日だ。
大安で、結婚旅立ちにいい日とある。
午後から雷鳴が激しく、雹のような雨さえ降って来た。
山国の産のせいであろう、まるで森林のように毛深い脚を出して、与一は忙がしく荷造りを始めた。私はひどく楽しかった。男が力いっぱい荷造りをしている姿を見ると、いつも自分で行李を締めていた一人の時の味気なさが思い出されてきて、「とにかく二人で長くやって行きたい」とこんなところで、――妙にあまくなってゆく。
私は塩たれたメリンスの帯の結びめに、庖丁や金火箸や、大根擂り、露杓子のような、非遊離的な諸道具の一切を挟んだ。