Japanische Klassiker mit Furigana
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せいぞうとぬま
清造と沼
宮島 資夫
Lesen Sie 清造と沼 (せいぞうとぬま) von 宮島 資夫 (みやじますけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 5.864 Zeichen · 12 Bildschirme
しかし清造はぺこぺこにへこんだお腹をそっとおさえて、悲しそうにいき過ぎるよりほかにしかたがありませんでした。
このにぎやかな町にはいってから、五、六町歩くうちに清造はどこの店も、自分にはまるで用のないものだということを、小さな頭にさとりました。唐物屋だの呉服店などに、どんなにきれいなものがかざってあっても、今の清造にはなんの興味もありません。金物屋や桶屋はそれ以上に用のないものでした。といって、あのうまそうなおかしだの、にしめだののならべてある店の前に立つと、ただ苦しくなってくるばかりです。
「どこにもおれには用はねえだ。」かれはそう思うと、このにぎやかな町が、にわかにさびしいものになってしまったように感じました。そうして、きのうまで歩いて来た、林だの畑ばかりつづいたいなか道が、かえって恋しくなってきました。そこでもかれはむろん、うえ疲れて歩いていました。しかし、お腹がへって、からだが疲れてふらふらしてくると、清造はどこか道ばたの木の根でも、お堂の縁にでも腰をおろして、ごろりと横になるのでした。そうしてふと目をつぶると、頭の中がしいんとして、いつも同じように、自分がいままで遊んでいた、村のはずれにある、あの大きな沼が目の前に浮かんできました。