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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼうふううにおわったいちにち

清風荘事件 他8編

松本 泰

Lesen Sie 清風荘事件 他8編 (ぼうふううにおわったいちにち) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.532 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、陽気なジャズをかけはじめた。

波瑠子はついに決心して言った。

「では今晩、お店を仕舞ってから十一時半に蒲田新道の水明館でお会いしましょう。そして、もう一度よく相談をしましょう」

二人はそれからいっそう声を低めて、何事か話し合った。そして“ハルピンから来た男”は間もなく、その『ナイル・カフェ』を立ち去った。

2

電灯が点くころから、ぼつぼつ中折帽子やステッキが階段を上がってきた。騒がしいジャズと煙草の煙と、屈託のない女給たちの笑声に、賑やかなカフェの夜が織り出されていった。

早番だった波瑠子は五時の交替にそっと四階へ上がって、だれもいない部屋の片隅で手紙を書いていた。彼女はあらかじめ文案をしていたとみえ、ペンを執るとすらすらと手紙を書き終わってそれを懐にしまい、鏡台の前で顔を直しているところへ、カフェの経営者の海保が入ってきた。

波瑠子は鏡の中に映った異様な男の目を見ると、いやな顔をして立ち上がった。

「旦那、またいらしったの。わたし一人のときにこんなところへいらしったりしちゃあ、みなに痛くもないお腹を探られて、わたし困るわよ」

「人の思惑なんぞはどうだって構わないじゃあないか」