Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼうふううにおわったいちにち

清風荘事件 他8編

松本 泰

Lesen Sie 清風荘事件 他8編 (ぼうふううにおわったいちにち) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.532 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

「電話を聞いてすぐ飛んできたのよ。で、波瑠ちゃん、いったいどうしたっていうの?」

「わたしね、お店を辞めたのよ。もっともこの間じゅうから腹の内で決めていたんだけれども、あの親父があんまりいけ図々しくっていやになってしまって、予定を繰り上げたわけだわ」

「じゃあ、海保は今度はあなたに白羽の矢を立てたのね。もっとも、あなたは奇麗だからね」

洋装の女はいくらか嫌みっぽく言った。

「何を言っているのばかばかしい! この人はそんなことじゃあ、まだ未練があるのね」

「でも、あの人の本当の性質はあんなじゃあなくってよ。みんな花江の指金だわ」

「その花江だってあんな目に遭ってさ、いまは東京にはいないっていうじゃあないの」

「本当にそんな人かしら。でもわたし、半年もこうして遊んでいるうちに、世の中なんて何をしたってろくなことはないとつくづくいやになってしまったわ。わたし、店にいたときがいちばん幸せだったのよ」

「百合ちゃん、あの男と撚りを戻そうなんて弱気になっちゃだめよ。いっそ方針を変えて、一年や二年遊んで暮らせるだけ搾り取っておやりなさいよ」

波瑠子はその時、数間先の自動車の傍に立っている人影を見て、いまいましげに肩を竦めた。