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Japanische Klassiker mit Furigana

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しぶやけのしそ

渋谷家の始祖

宮本 百合子

Lesen Sie 渋谷家の始祖 (しぶやけのしそ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.023 Zeichen · 133 Bildschirme

Aozora Bunko

俺の力が恐ろしいからだ。俺に出られちゃあ、自分達の立つ瀬がなくなるから、邪魔者の俺を、見えない底へ葬ってしまおうとするのだ。

いつも狙っている、いつも隙を窺っている。それを、俺が知らないとでも思うのか、馬鹿奴。然し、お気の毒だが、俺はまだ死なないよ。邪魔にするなら、して見るが好いさ。けれども、俺も、負けてはいないからな、貴様が邪魔にする気なら、フム! 正隆は、血走った双眼をカット見据えた。覚えていろ、俺も命の限り、邪魔になってやるから!

夢中になった正隆は、正房を抱いた乳母が御隠居様、と呼びながら主屋(おもや)へ逃げて行ったほど、狂暴な勢で、訳の分らないことを怒鳴りながら、瓶から酒を煽りつけた。そして、しまいには、失神したような信子夫人を、確りと胸に抱き擁(かか)えながら、膏(あぶら)と汗でニチャニチャに汚れた頬を、冷い、滑な彼女の頬に擦りつけながら、

「信子、信子……」

と子供のように泣き崩れてしまった。

十一

「邪魔にする? フム、面白い、やれ! やれるものなら、やって見ろ!」

酒精(アルコール)の力に煽られて、夢中になっていた間は、正隆にとって仕合わせな時であった。