Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おんじょうのゆたかななつめさん

温情の裕かな夏目さん

内田 魯庵

Lesen Sie 温情の裕かな夏目さん (おんじょうのゆたかななつめさん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.980 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

また夏目さんは他人に頼まれたことを好く快諾する人だったと思う。随分いやな頼まれごとでも快く承諾されたのは一再でない。或る時などは、私は万年筆のことを書いて下さいと頼んだ。若い元気の好い文学者へでも、こんな事を頼もうものなら、それこそムキになって怒られようが、先生は別に嫌な顔などはせられなかった。ただ「僕は困る」と言われた。と、私は、「いえ、悪くさえいわねば好いから……調法なものだ位いに書いて下さい」と頼んだ。そんな風で、いわばこちらで書き上げた物にただ署名してもらう位いにしても快諾されたことがある。

私は夏目さんとは十年以上の交際を続けたが、余り頻繁に往復しなかったせいでもあろうけれども、ただの一度も嫌な思いをさせられたことがない。なるほど、時としてはつむじ曲りだと世間に言われるような事もあったか知れない。千駄木にいられた頃だったか、西園寺さんの文士会に出席を断って、面白い発句を作られたことがある……その句は忘れたが、何でもほととぎすの声は聞けども用を足している身は出られないというような意味のことだった。

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夏目さんは門下生には大変好かった。