Japanische Klassiker mit Furigana
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みなとについたくろんぼ
港に着いた黒んぼ
小川 未明
Lesen Sie 港に着いた黒んぼ (みなとについたくろんぼ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 6.903 Zeichen · 14 Bildschirme
」と、男はいいました。
あちらに、草の上にすわって、手に笛を持っておとなしく、弟は、姉のくるのをまっていました。
姉は、思案に沈んだ顔つきをして、着物のすそを夕風になぶらせながら弟のそばへ、はだしのまま近寄ってきました。そして、目は見えぬながら微笑んで、姉を迎えた、弟に向かって、
「姉さんは、ちょっと用事があっていってくるところがあるのよ。おまえは、どこへもいかずに、ここに待ってておくれ、すぐに姉さんは帰ってくるから。」と、やさしくいいました。
弟は、盲目の目を、姉の方に向けました。
「姉さんは、もう帰ってこないのではないの。僕は、なんだかそんなような気がするんだもの。」といいました。
「なぜ、そんな悲しいことをいうの。姉さんは、一時間とたたないうちに帰ってきてよ。」と、姉は、目に涙をためて答えました。
弟は、やっと姉のいうことがわかったみえて、黙ってうなずきました。
姉は、使いの男につれられて、いかめしい馬車に乗りました。馬車は、ひづめの音を砂地の上にたてて、日暮れ方の空の下をかなたに去りました。
弟は、そのひづめの音が遠く、かすかに、まったく聞こえなくなるまで、草の上にすわって、じっと耳を澄ましていました。