Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こんとんみぶん

渾沌未分

岡本 かの子

Lesen Sie 渾沌未分 (こんとんみぶん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.232 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

「今夜、何か話があるの」

小初の義務的な質問が、小初の顔立ちを引締まらせた。小初がずっと端麗に見える。その威厳がかえって貝原を真向きにさせた。貝原は悪びれず、

「相当な年配の男のいうことですから、あなたも本気で聴いて下さい。これは家内とも相談しての上ですから――まあ、私だちちっぽけなりにも身上も出来てみれば、出来のいい品のある子供が欲しいです。うちに一人ありますが、ひと口に云うとから駄目なのです。人を扱いつけてる職業ですから私にはすぐ判ります。血筋というものは争われません。何代か前からきっと立派な血が流れて来ていて、それが子孫に現われて来るんですね」

「これは家内とも相談ですが」と貝原は再び儀式的の掛け合いのように念を押して、

「小初先生。世の中には、相当な知識階級の女でも、何か資金の都合のため、人の世話になるという手があります。先生をおもちゃにする気は毛頭ありません。あなたの持っている血筋をここに新らしく立てる私の家の系図へちっとばかり注ぎ入れて頂きたいのです」

貝原の平顔は両顎がやや張って来て、利を掴むときのような狡猾な相を現わして来た。がそれもじきにまた曖昧になり、やがて単純な弱気な表情になって、ぎごちなく他所見をした。