Japanische Klassiker mit Furigana
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こなんのおうぎ
湖南の扇
Lesen Sie 湖南の扇 (こなんのおうぎ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.079 Zeichen · 19 Bildschirme
「嶽麓には湘南工業学校と言う学校も一つあるんだがね、そいつをまっ先に参観しようじゃないか?」
「うん、見ても差支えない。」
僕は煮え切らない返事をした。それはついきのうの朝、或女学校を参観に出かけ、存外烈しい排日的空気に不快を感じていた為だった。しかし僕等を乗せたボオトは僕の気もちなどには頓着せず、「中の島」の鼻を大まわりに不相変晴れやかな水の上をまっ直に嶽麓へ近づいて行った。………
* * * * *
僕はやはり同じ日の晩、或妓館の梯子段を譚と一しょに上って行った。
僕等の通った二階の部屋は中央に据えたテエブルは勿論、椅子も、唾壺も、衣裳箪笥も、上海や漢口の妓館にあるのと殆ど変りは見えなかった。が、この部屋の天井の隅には針金細工の鳥籠が一つ、硝子窓の側にぶら下げてあった。その又籠の中には栗鼠が二匹、全然何の音も立てずに止まり木を上ったり下ったりしていた。それは窓や戸口に下げた、赤い更紗の布と一しょに珍しい見ものに違いなかった。しかし少くとも僕の目には気味の悪い見ものにも違いなかった。
この部屋に僕等を迎えたのは小肥りに肥った鴇婦だった。譚は彼女を見るが早いか、雄弁に何か話し出した。