Japanische Klassiker mit Furigana
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こなんのおうぎ
湖南の扇
Lesen Sie 湖南の扇 (こなんのおうぎ) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.079 Zeichen · 19 Bildschirme
「きょうは誰かの出迎いかい?」
「うん、誰かの、――誰だと思う?」
「僕の出迎いじゃないだろう?」
譚はちょっと口をすぼめ、ひょっとこに近い笑い顔をした。
「ところが君の出迎いなんだよ。Bさんは生憎五六日前からマラリア熱に罹っている。」
「じゃBさんに頼まれたんだね?」
「頼まれないでも来るつもりだった。」
僕は彼の昔から愛想の好いのを思い出した。譚は僕等の寄宿舎生活中、誰にも悪感を与えたことはなかった。若し又多少でも僕等の間に不評判になっていたとすれば、それはやはり同室だった菊池寛の言ったように余りに誰にもこれと言うほどの悪感を与えていないことだった。………
「だが君の厄介になるのは気の毒だな。僕は実は宿のこともBさんに任かせっきりになっているんだが、………」
「宿は日本人倶楽部に話してある。半月でも一月でも差支えない。」
「一月でも? 常談言っちゃいけない。僕は三晩泊めて貰えりゃ好いんだ。」
譚は驚いたと言うよりも急に愛嬌のない顔になった。
「たった三晩しか泊らないのか?」
「さあ、土匪の斬罪か何か見物でも出来りゃ格別だが、………」
僕はこう答えながら、内心長沙の人譚永年の顔をしかめるのを予想していた。