Japanische Klassiker mit Furigana
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こはん
湖畔
久生 十蘭
Lesen Sie 湖畔 (こはん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.180 Zeichen · 47 Bildschirme
、他人の親和愛眷をまったく期待せぬようになり、顔を見られるのを厭って、毎日、家に閉籠っていた。のみならず、それ以来、妄覚に悩まされ、白昼、幻を見るような不安な容態になったので、本意ではなかったが一旦帰国することにし、十一月の末、馬耳塞から船に乗った。航海中、一時、快方に向いたが、印度洋の暑気にやられて譫妄状態に陥り、横浜入港と同時に、手足を縛って脳病院に送り込むという狂人同様の取扱いを受けた。当初の手当が不完全だったので、早速、再切開することになり、大学病院に移ってそこで手術を受けた。
当時、社会一般の思潮は自由主義の傾向を帯び、その勢い侮るべからざるものがあった。俺はそれに反抗して、貴族の権威のあるところを知らしてくれようと思ッたもンだから、入院加療中、「華族藩屏論草案」という一文を草し、報復的に時事新報に投じたところ、これが予想以上の好評を博し、決闘のことまでが誇大に喧伝され、俺の負傷は日本の名誉のために戦った勇武剛毅の表章だということになった。何んぞ知らん、顔の創痍は他人の女に手を出して失敗った記念で、勁抜の一文はソールズベリー卿の論文をそッくりそのまま借用したものに過ぎぬ。