Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆなのたましい
湯女の魂
泉 鏡花
Lesen Sie 湯女の魂 (ゆなのたましい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.936 Zeichen · 55 Bildschirme
「お頼み申す。」
すると、どうでございましょう、鼻ッ先の板戸が音もしないで、すらりと開く。
「騒々しいじゃないかね。」
顔を出したのが、鼻の尖った、目の鋭い、可恐しく丈の高い、蒼い色の衣服を着た。凄い年増。一目見ても見紛う処はない、お雪が話したそれなんで。
小宮山は思わず退った、女はその我にもあらぬ小宮山の天窓から足の爪先まで、じろりと見て、片頬笑をしたから可恐しいや。
「おや、おいでなさい、柏屋のお客だね。」
言語道断、先を越されて小宮山はとぼんと致し、
「へい。」と言って、目をぱちくりするばかりでありまする。
「まあ、御苦労様だったね。さっきから来るだろうと思って、どんなに待っていたか知れないよ。さあまあこっちへお上りなさい、少し用があるから。」
と言った、文句が気に入らないね、用があるなんざ容易でなさそう。
十六
相手は女だ、城は蝸牛、何程の事やある、どうとも勝手にしやがれと、小宮山は唐突かれて、度胆を掴まれたのでありますから、少々捨鉢の気味これあり、臆せず後に続くと、割合に広々とした一間へ通す。燈火はありませんが暗いような明るいような、畳の数もよく見える、一体その明がというと、女が身に纏っている、その真蒼な色の着物から膚を通して、四辺に射拡がるように思われるのでありまする。