Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆなのたましい
湯女の魂
泉 鏡花
Lesen Sie 湯女の魂 (ゆなのたましい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.936 Zeichen · 55 Bildschirme
確にそれがお雪の面影。
それぎり何事もなく、汽車は川中島を越え、浅間の煙を望み、次第に武蔵の平原に近づきまする。
上野に着いたのは午後の九時半、都に秋風の立つはじめ、熊谷土手から降りましたのがその時は篠を乱すような大雨でございまして、俥の便も得られぬ処から、小宮山は旅馴れてはいる事なり、蝙蝠傘を差したままで、湯島新花町の下宿へ帰ろうというので、あの切通へ懸りました時分には、ぴったり人通りがございません。後から、
「姐さん、参りましょうか、姐さん。」
と声を懸けたものがある。
振返って見ると誰も居ませんで、ただざあざッという雨に紛れて、轍の音は聞えませぬが、一名の車夫が跟いて来たのでありました。
小宮山は慄然として、雨の中にそのまま立停って、待てよ、あるいはこりゃ託って来たのかも知れぬと、悚然としましたが、何しろ、自宅へ背負い込んでは妙ならずと、直ぐに歩を転じて、本郷元町へ参りました。
ここは篠田が下宿している処でありまする、行馴れている門口、猶予わず立向うと、まだ早いのに、この雨のせいか、もう閉っておりましたが、小宮山は馴れている、この門と並んで、看護婦会がありまする、雨滴を払いながらその間の路地を入ると、突当の二階が篠田の座敷、灯も点いて、寝ない様子。