Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆしまのけいだい
湯島の境内
泉 鏡花
Lesen Sie 湯島の境内 (ゆしまのけいだい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.674 Zeichen · 18 Bildschirme
(嘆息す。)
お蔦 何だねえ、気の弱い。掏賊の手伝いをしたッて、新聞に出されて、……自分でお役所を辞職した事なんでしょう。私が云うと、月給が取れなくなったのを気にするようで口惜しいから、何にも口へは出さなかったけれど、貴方、この間から鬱いでいるのはその事でしょう。可いじゃありませんか。蹈んだり蹴たりされるのを見ちゃ、掏賊だって助けまいものでもない、そこが男よ。ええ、私だって柳橋に居りゃ助けるわ。それが悪けりゃ世間様、勝手になさいな。またお役所の事なんか、お墓のお母さんもそう云いました。蔦がどんな苦労でも楽みにしますから、お世帯向は決して御心配なさいますなって、……云ってましたよ。
早瀬 難有い、俺ら嬉しいぜ。
お蔦 女房に礼を云う人がありますか。ほんとうにどうかしているんだよ。
早瀬 馬鹿な。お前のお母さんに礼を云うのよ。しかし世帯の事なんか、ちっとも心配しているんじゃない。
お蔦 じゃ何を鬱ぐんですよ。
早瀬 何という事はない、が、月を見な、時々雲も懸るだろう。星ほどにも無い人間だ。ふっと暗闇にもなろうじゃないか。……いや、家内安全の祈祷は身勝手、御不沙汰の御機嫌うかがいにおまいりしながら、愚痴を云ってちゃ境内で相済まない。