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Japanische Klassiker mit Furigana

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まんかんところどころ

満韓ところどころ

夏目 漱石

Lesen Sie 満韓ところどころ (まんかんところどころ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.601 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

その時犬はわんとも云わなかった。ぐうとも云わなかった。あたかも弾力ある暖かい器械の、素直に自然の力に従うように、おとなしく抱かれて行った。顔はたびたび云う通りはなはだ妙だが、行状に至ってはすこぶる気高いものであった。余はその後ついにこの犬に逢う機会を得なかった。

三

退屈だから甲板に出て向うを見ると、晴れたとも曇ったとも方のつかない天気の中に、黒い影が煙を吐いて、静かな空を濁しながら動いて行く。しばらくその痕を眺めていたが、やがてまた籐椅子の上に腰をおろした。例の英吉利の男が、今日は犬を椅子の足に鎖で縛りつけて、長い脛をその上に延ばして書物を読んでいる。もう一人の異人はサルーンで何かしきりに認め物をしている。その妻君はどこへ行ったか見えない。亜米利加の宣教師夫婦は席を船長室の傍へ移した。甲板の上はいつもの通り無事であった。ただ機関の音だけが足の裏へ響けるほど猛烈に鳴り渡った。その響の中でいつの間にかうとうとした。

眼が覚めてから、サルーンに入って亜米利加の絵入りの雑誌を引っ剥がして見た。傍には日本の雑誌も五六冊片寄せてあった。いずれも佐治文庫と云う判が押してある。