Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しおかぜ

潮風

豊島 与志雄

Lesen Sie 潮風 (しおかぜ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

芳枝さんの眉根にも、かすかな苛立ちがあった。

「佐代子!」と彼女は呼びたてた。「お銚子のお代りよ。どしどしつけといて頂戴。」

――こんな場面を見てると、俺はじれったくて仕様がないんだが、あんまり度々なので、もう諦めた。そしてただ一つ、ひそかに俺がほくそ笑むことがあった。それは金銭ということだ。一体二人が愛しあうようになって、もう三年ばかりになるが、愛しあってるだけでは足りないと見えて、始終何かしら嫉妬めいた口説が起るのだった。それかって、結婚するわけにもいかなかったらしい。片野さんは、嘗て或る女と同棲生活をしたことがあり、芳枝さんは、嘗て一年ばかり結婚生活をしたことがあるが、どちらもそれはきれいに清算されてるし、其後、ちょっとした情事もあるにはあったが、二年ばかりこの方、芳枝さんは堅く身を慎んでるし、片野さんは時々全くの浮気をやるくらいのもので、結婚しても差支えない筈だったが、そうはいかない隠れた理由があったのか、或は二人とも同棲生活に疑惑を懐いてたのか、或は多分、親戚知友の関係とか社会的地位とか云う変梃な障害があったのだろう。そのくせ、こうしていて後にはどうなるかという、下らない不安が大きくなっていったらしい。