Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はなかみろうにん
濞かみ浪人
吉川 英治
Lesen Sie 濞かみ浪人 (はなかみろうにん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.425 Zeichen · 39 Bildschirme
と、彼を馳走して帰すたびに、帰り際には、きっとそう云った。口に出して礼を云う老人でなかったが、蠣浜橋の時の彼の働きは、内心大いに多としているのであろう。
偶然――そういう事情の中に懇意きとなったので、数右衛門は、老人にも愛されるし、お千賀にも、いつも笑顔で迎えられた。
で、数右衛門は、
(雄之助へは断っても、おれならばくれるな)
と、思った。
何かで、旗本のうわさだの、雄之助の話が出れば、お千賀も一閑と共に、よく云わないし、反対に、自分には絶対な好意を示す。――数右衛門の癖で、
『御息女。もう一本……』
と、酒と後引や、長座の夜更かしになっても、
『では、これっきりで御座いますよ』
お千賀が、愛くるしい眼で、睨むまねはするが、決して厭な顔はしない。
その上、酔った戻りに、溝へ落ちたと云えば、洗い物を持っていらっしゃいと云ってくれるし、寒くなれば、知らない間に、冬着を縫っておいて、
『お国元から参りましょうが、お間に合せに、お召しくださいませ』
と、お千賀が、しつけ糸まで抜いて、身背丈を見ながら、着せてくれたりする。
気だての良さ、お千賀の美しさ。身分の高下もたんとない。