Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのついたかかと
火のついた踵
宮本 百合子
Lesen Sie 火のついた踵 (ひのついたかかと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.781 Zeichen · 34 Bildschirme
却って、結婚しないうちの方が、頭でだけ考えて、明快に、善(よし)、悪(あし)でも云ったと思うわ。事実に入って見ると――難しいんですもの。まるで、概論じゃあ、行かないのよ。例えば、相手の人の人格とか教養とかいうことだってもね、それは勿論、何かの標準にはなるに違いないけれど、友達と良人とでは、何だか、まるで違うものが現れて来るのよ。――ね、そうお思いにならなくって?
英一 さあ――
谷 そこまで行くと、我々は未丁年ですね。
みさ子 (考えつつ)結婚生活では、普通、正しい人間とか、善い人とか云っている、もう一重底の蕊(しん)が現れるのじゃあないかしら。うまく云えないけれども。つまり、こういうことになるのね。或る人が、誰にきかせても、正しいとほか云われないような考えを持っているとするのよ。考えよ。友達の間は、或る程度まで、その考えだけで、つき合い調和して行けると思うわ。けれども、結婚した生活では、その考えと、実際の物事に触れて起って来る、その人のしんからの心持とが、どの位ぴったりしているか。それが直接の問題になって来るのね。だから、いくら、その考えが、思想なり、理論なりとして間違ったものではなくても、自分が、事実、胸ではこだわっていながら、正直にそれを見ないで、自分も相手も、ただ理攻めにしようとするなんか、ほんとに