Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのついたかかと
火のついた踵
宮本 百合子
Lesen Sie 火のついた踵 (ひのついたかかと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.781 Zeichen · 34 Bildschirme
幕開く。舞台は空虚。
光りや色彩の快感が、徐(おもむ)ろに漠然とした健康や活力の感を看る者に味わさせた頃、上手の垂帳から、みさ子が出て来る。(藤色のネルの着物、全体、さっぱりした服装)
みさ子 (部屋に入りながら、振返り)一寸こっちへ来て御覧にならないこと? 綺麗よ。今日は、私がすっかり大掃除をしたんですもの。
振一郎 (黙って入って来る。黒っぽいセルの着付。四辺(あたり)を見廻し)ほう。綺麗だね。
みさ子 この部屋は、日がよく射すから、猶気持が好いわ。(ヌックの方へ行く)御覧なさいませ。一寸この薔薇! 素敵でしょう? 私こんなのが咲くとは思わなかったわ。
振一郎 (気がなさそうに)よく咲いたね。
みさ子 匂いをかいで御覧遊ばせよ。いいじゃあないの? ほら!(花壺を持ち、顔を埋めるようにして匂をすい、良人の鼻先に出す)
振一郎 うむ。いいね。花を持った枝は切る方が、来年のために好いんだよ。
みさ子 そうお。私が好きだから、どうせお部屋の花に切ることになってしまうわ。(ヌックの卓子の上に花壺を置き、そこの椅子に坐る)貴方もおかけにならないこと?
振一郎 (ぶらぶら行って、向い合わせに掛ける)英一さん達は幾時頃来るの?