Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのついたかかと

火のついた踵

宮本 百合子

Lesen Sie 火のついた踵 (ひのついたかかと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.781 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

選択以上なのよ。たった一人っきりなの。見限って棄てられる愛なんか、まるで、まるで遊びだわ。よかろうが、悪かろうが、その人の可愛い自分の心を、どうしようもないから、苦しむのじゃあないの?

谷  そういう心持も、僕は時間と程度の問題だと思うな。人間が愛されずに生きて行かれますか? まして、あなたのように暖い、愛されたい人が。

みさ子 谷さん! それだけで、もう貴方が、どんなに私から遠い人だかがわかってよ。どうして、私が求めても得られないで苦しんでいる愛を、そう惨酷に摘発なさるの?

――もうおやめなさい。――お友達にしたって、変な、いやな気持になってしまうじゃないの。

みさ子、歩きかける。

谷  まるで子供扱いでは、僕も云いようがなくなります。然し――みさ子さん、これだけは云わせて下さい。愛には、勿論、種々様々な形と内容とがありましょう。けれども、結局、鳴らぬ笛は、鳴らぬ笛なのです。――(腰架(ベンチ)から立つ。)それでは、裏へ行って見ますか?

みさ子、黙って先に立って行く。

殆ど、入れ違いに、下手から、英一、奥平、低声に話しながら出て来る。

英一 (圧えた声調で)――実際、僕としてこういうことを云うのは苦痛です。