Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのついたかかと
火のついた踵
宮本 百合子
Lesen Sie 火のついた踵 (ひのついたかかと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.781 Zeichen · 34 Bildschirme
今日は。
英一 今日は。
みさ子 先ほどは、お電話をありがとう。
英一 どう致しまして。
谷 実はね。あの電話は、僕がせっついて掛けさせたんですよ。たまに上るのに留守をくわされては堪りませんからね。
谷、英一、各々ほどよい処に自分で席を定める。
みさ子 (縫取を片づけながら)そうだったの? 大丈夫よ。私共が二人で留守をすることなんか、一年に、ほんの数えるほかありはしないわ。
英一 然し、何にしろ、素晴らしい天気だからな――戸外(そと)は、なかなか暑いですよ。――一寸そこをあけてようござんすか?
みさ子 ああ、どうぞ。ほんとにね、ずくんでいるもんだから……
英一、フォールディング・ドーアの一方を開く。
みさ子 (其方に顔を向け)ああ好いこと。まるで夏のようね。
英一、席に戻る。
みさ子 この頃はいかが(笑顔で二人に)相変らず?
谷 別に目醒ましいほどのこともありませんね。教師は教師で、生活難で萎縮し切った講義をやるし、学生は学生で、浮腰だし……(それとなく室内を見廻す)
英一 おまけに君は、中で一等の遊動体だろう(笑う)――それにしても、随分会いませんでしたね。あの音楽会は、何でも正月頃だったでしょう?