Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとり
火の鳥
Lesen Sie 火の鳥 (ひのとり) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.740 Zeichen · 76 Bildschirme
あなたの乙やんです。須々木さんが、あたしにそれを教えて呉れました。けれども、あなたも教えて下さい。一こと、教えて下さい。あたし、間違っていましょうか。聞かせて下さい。あたしは、甘い水だけを求めて生きている女でしょうか。あたしを軽蔑して下さい。ああ、もう、めちゃめちゃになりました。あたしを呼んでいます。舞台に出なければなりません。十時に――
と、書きかけて、そのままになっていた。
高須は顔を蒼くして、少し笑い、紙片を二つに裂いた。
「見せろ。あいびきの約束かね?」
「君には、これを読む資格がない。」はっきりした語調で言って、さらに紙片を四つに裂いた。「あなたのひいきの高野幸代という役者は、なかなかの名優ですね。舞台だけでは足りなくて、廊下にまで芝居をひろげて居ります。」
「そんなこと言うもんじゃないよ。」助七は当惑気に、両手を頭のうしろに組んで、「いや味だぜ。さちよも、一生懸命に書いたんだろう? 逢ってやれよ。よろこぶぜ。」
助七に、ぐんと背中を押され、青年は、よろめき、何かあたたかい人間の真情をその背中に感じ、そのままふらふら歩いて、一人で劇場の裏にまわっていった。