Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとり

火の鳥

太宰 治

Lesen Sie 火の鳥 (ひのとり) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.740 Zeichen · 76 Bildschirme

Aozora Bunko

子供じゃない。ほって置いたって大丈夫。あたしだって、はじめは、あの子に腹が立った。女優なんて、とんでもない、と思っていた。やはり、あなたと同じように、国へかえったほうが、一ばん無事だと思っていた。だけど、それは、あたしの間違い。だって、さちよが国へかえって、都合のよいのは、それは、あたしたちのほうよ。あの子は、ちっとも仕合せでない。あなただってそうよ。やっぱり、どこか、ずるいのよ。けちな、けちな、我利我利が、気持のどこかに、ちゃんと在るのよ。あなたが勝手に責任感じて、そうして、むしゃくしゃして、お苦しくて、こんどは誰か、遠いところに居る人に、その責任、肩がわりさせて、自身すずしい顔したいお心なのよ。そうなのよ。」言いながら、それでも気弱く、高須の片手をそっと握って、顔色をうかがい、「ごめんなさいね。うち、失礼なことばかり言って。」さっと素早く、ウイスキイあおって、「でも、ねえ。あの子を、いま田舎へかえすなんて、やっぱり、残酷よ。よく、そんなこと、言えるのね。あの子を国へかえしちゃいけない。あなたは、あの子が、去年どんなことをしたか知ってるわね。どんなに笑われたか、知っているわね。