Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひをてんず

火を点ず

小川 未明

Lesen Sie 火を点ず (ひをてんず) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.105 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

「てめえみたいなやつは、大きくなるとどろぼうになるんだ。」

男は、小さな手で両眼をこすって泣き出した少年を後目にかけて、ののしると町の方へ引き返してしまいました。

神社の境内にあった、いちょうの葉は、黄色く、ひらひらと、すでにうす暗くなった地の上に吸い込まれるように散っていました。少年は、いつまでも泣いていたが、急になきやんだ。そして、足もとに倒れているびんを拾って、一目散に村の方へ走りだした。

「俺をどろぼうといったぞ。」と、口走りながら。

町に、燈火のつくころでした。みすぼらしいようすをした老婆が、石油屋の入り口に立って、

「さっき、子供が、五厘足りなかったので、どろぼうだといってしかられたと泣いてきたが、私が銭を渡したときに目が悪いものでまちがったのだ。まちがいということは、だれにでもあることでな……。」と、老婆は、目をしばたたきながら、主人にいった。

「いえ、五厘足りないと追いかけていっていうと、たしかに置いてきたといいなさるから、うそをいうことは、どろぼうのはじまりだといったのです。」と、平常無口の男は白々しく答えた。

翌日の暮れ方のことです。