Japanische Klassiker mit Furigana
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かじ
火事
小川 未明
Lesen Sie 火事 (かじ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.986 Zeichen · 6 Bildschirme
僕たちは、家の前に、防火用に置いてある、水の入った四斗だるを三人で運びました。あんなときは、不思議に力が出るものだと自分でも驚きました。お蔭で、大事な洋服が、ずっぷりぬれてしまったから、明日お母さんに乾してもらいます。」
信一は、笑いながら、こういい終わらぬうちに、はや二階へ上りかけていた。
「ほかに、見物しているやじうまもあったろう。」と、お父さんは、おききになりました。これに対して、しばらく返事はなかったが、
「あまり、ありませんね。みんないっしょになって、働いていますよ。」
「ああ、そうか。」
「お休みなさい。」
こんどは、信一は、元気よくいって、トン、トンと、はしご段に足音を残しながら、上ってしまいました。それから弟と話をする声がしたかと思うと、そのうち二人とも眠ったのであろう、しんとしてしまった。ただ独りお父さんだけは、いつまでも眠られませんでした。
「たしかに、世の中は、変わった。子供もちがったようだ。昔は、たとえ他人は、どうあろうと、自分さえよければいいと思っていた。なんという恥ずかしいことだったろう……。」
お父さんは、青ざめた、明け方近き空を吹く風の音を、まくらに頭をつけたまま、聞きながら、心を遠方にはせていられました。