Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やけどしたかみさま

火傷した神様

田中 貢太郎

Lesen Sie 火傷した神様 (やけどしたかみさま) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.456 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

雉は此処ぞと思って、

「起きてください、火事です、火が燃えつきます、たいへんです」

と叫ぶと、来宮様はやっと眠りからさめかけた。

「うう、うう、ううん」

「ううんじゃありません、火事です、たいへんです、起きてください」

「やかましい、たれだ」

「たれもかれもありません、そんなことを云ってる場合じゃありません、起きてください、たいへんです」

「雉か」

「雉ですから、早く起きてください、たいへんです」

「なにがたいへんだ、そうぞうしい。それより、咽喉がかわいた、水を一ぱい持って来い」

「だめです、そんな暢気なことを云ってちゃ、焼け死にます、早く起きてください」

「酒を飲んで焼け死ぬる奴があるか、水を持って来い」

火はもうその時華表に燃え移っていた。雉は半狂乱になっていたが、大きな胴体をしている来宮様を抱いて往くことができなかった。

「早く、早く、早く起きないと、焼け死にます、早く、早く」

「なにを、そんなにあわてるのだ」

来宮様がやっと正気になって、顔をむっつりあげた時には、もう華表は一面の火になっていた。それにはさすがの来宮様も驚いて逃げようとしたが、焔に包まれたので逃げることができなかった。