Japanische Klassiker mit Furigana
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かやくせん
火薬船
海野 十三
Lesen Sie 火薬船 (かやくせん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.552 Zeichen · 124 Bildschirme
「はい、本船の目的と申しまするのは、日本を飛びだして日本に帰らないということであります。われわれ一同、こせこせした日本人に嫌気がさし、日本人を廃業して中国人になり切り、南シナ海からマレー、インドの方までもこの船一つを資本として、きのうは東に、きょうは西にと、気ままに航海をつづけようというのであります。積荷は、ことごとく中国雑貨と酒です」
日本人を廃業するんだとは、船長なかなかすごいことをいいだしたものである。そういっておいて、船長はじっと岸少尉の顔色をうかがっていた。
地方版の記憶から
「日本人を廃業して、ふたたび日本にかえらないというのか。ふん、なるほど」
岸少尉は、わかいがさすがに思慮ある士官、べつだんいやなかおもせず、船長のおもてを見かえして、
「あれは今から一ヶ月ほど前のことだったか、長崎県の或るさびれた禅寺において、土地の人がびっくりしたくらいの盛大な法会が行われたそうだね」
と妙なことを岸少尉はしゃべりだした。
「はあ、そうでしたか」
「そうでしたかというところを見ると、貴公は知らないと見えるね。――その法会に参加した人数は五十人あまり、法会の模様からさっすると、これは団体的葬儀の略式なるものであったということが分った。