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Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

この色は、自分の好みと凡そはなれたものであった。然し、彼は、金色のケースと牡丹色とを好んでいるように思った。それは、あのお好み焼の重量感と似通っていた。彼はきっと多くの種類の中から特にこの色を選んだにちがいなかった。私は、彼の心根を嬉しく受け取ることが出来た。

帰宅の折、私はその色を口の上に丹念にぬった。私の唇は、ぎらぎらとどぎつく光った。そして小使い室で荷物をまとめている大岡少年のところへもう一度会いに行った。

「さっき、ありがとう。お元気でね。出張してかえって来ることが度々あるわよ。その時、又会いましょうね。私、何にもあげるものないし、月給日が明後日で、お財布もさみしいのよ。だけど、これ、あげるわ」

私は、ハンドバッグの中の小さな鏡を彼に手渡した。出張すると、髪の毛をのばしてよい命令が降りるのである。彼は、素直に受けとって、簡単に、サイナラと云った。私の顔をみながら、口紅の色に気がついたのやらつかないのやら、無感動無表情であった。

帰り途。私は、ふっとかなしいものが胸の奥底から湧き上ってくるのを感じた。

翌日から、又いつもの通り、朝早く出勤して掃除をした。