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Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

自分で自分を発揮するだけの自信を取り戻したにせよ、もう私にはそうすることに興味をもたなかった。

それから一年。それは、今までの目まぐるしい生活にひきかえ、静かな淡々としたものであった。私は、お花を活けてみたり、陶器をならべて幾時間もその肌をみつめていたり、時には夕ぐれの山手街を散歩したりした。

諦めが私をそうさせた。激しい奔放な性格がけずりとられてゆくのと比例して、大きな喜びもなかった。原始的なものへの郷愁が私を慰めた。私は自分を技巧してみることもしなかったし、神経をいらだたせることもなかった。

孤独な生活であった。しかし孤独のさみしさが、私には苦しみでなくなっていた。かえってそのさみしさが一種のメランコリイの幸福感でもあった。若白髪が急にふえたのもその頃である。

はきすてたい自分、憎悪する自分。それがこうまで無反応になってしまえば、仕方がないで済ますことが出来るのだと苦笑もした。

その間、家の生活状態は次第に売るものもつきて来、全くの収入のない心細さと、昔の生活に対する執着などが交錯して、父は年よりも十も老いこけてしまい、毎夜の食事に交わす言葉も荒れて来た。