Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

後で、母にきいた時、

「いい子は神様のところ。悪い子は、針の山や火の海を越えてゆくの」

ときかされた。そして女中がお化けになると云ったんだと告げたら、母は女中達に叱っていた。私は針の山を歩く自分を想像した。火の海を泳ぐ自分を想像した。しかし、悪い子とはどんな子であり、いい子は誰であるというその限界がちっともわからないでいた。唯、その先生の死の事件は、私を少し又、悲劇的にさせた。

巡礼が通ったのは、その事件直後であった。日蓮宗の坊さん達が、長い行列をつくって、太鼓をたたいたり鉦を鳴したりして通ってゆくのを、夕ぐれ裏口でみていた。一つかみの御米を鉢の中に入れると、私の顔をじっとみつめながら御経をよみ出した。私もやっぱり御坊さんの顔をみながら西行さんのように感じた。けれどすぐ坊さんは立去ってしまい、何かその行列の中に云い知れぬさみしさを感じたのだ。

アリーが大人になったのは翌年の一月頃だった。とにかく、長い休暇があって――それが休暇か、病気欠席か、はっきりしないが――ひょっくり学校に顔を出した時、まっ先に目についたのがアリーであった。アリーは急に脊丈がのび、ジャンパースカートをはいている腰のあたりがふくよかであった。