Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

細かい字をかちかちノートにかきつめ、地図や理科の絵をきわめて美しくかいていた。又、御裁縫や手工も上手かった。私は縫うことは全くきらいであり完成したものは殆どなかった。人がまっすぐ同じ縫目を連ねてゆくのが不思議にさえ思えた。私が縫うと、針目はよたよた逼いまわっており、間に袋が出来たり襞が出来たりした。糊付けの仕事でも、ふたと身をきっちり合せることが出来なかった。が、それでも、彼女に馬鹿にされないようにと、乳母にこっそり仕立ててもらって学校へ持って行ったりした。

彼女に好意を持ったために、私は時々ほめてもらう位の優秀な学童になったが、一つだけ彼女から面倒なものをもらいうけた。それは、近眼である。授業中に彼女はそっと眼鏡を出して黒板の字を写した。私はそれが羨しくてたまらなかった。飴色の平凡なつるの眼鏡であったが、私はそれを掛ける時の恰好や、少し目を細めて遠方を凝視める顔にひどく愛着を抱いた。彼女はノートに字をかく時、うつぶせになっているのかと思う位の姿勢で書いていた。私はそれを無理に真似をし、例の何でも御願いばかりする神様に、眼鏡がかけられますようにと祈ったりした。