Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

私は又、はあ、と云った。何も云う事がなかった。

次の機会、それは路上であった。突然、空襲警報がなり、道の防空壕に私と彼女は、警防団の人達の命令で他の通行客と押づめになりながらいそいではいった。私は彼女の手と握り合っていた。彼女の呼吸が近くできこえ乾草のようなにおいを感じた。

「故郷はいいよ。松原があって、しろおい砂浜があるの。田園があって、森や鎮守様や。あなた、都会っ子ねえ、そうでしょう」

私は、私も田舎育ちであり、そこも又、白砂だったことを告げた。

「ああそう。たび、したいねえ」

天井にぶつかりそうになりながら、頭をくっつけ合わせて小声で喋った。彼女は、私に遊びに来るようにと告げた。そして、小さな手帖の紙に、地図と番地とをしるして私の手に握らせた。私は、明日の日曜日は作業のない日だから伺いますと云った。解除になって、私と彼女は壕の上で別れた。

翌朝、私はにぎり飯や飴玉を持って彼女の下宿先へ訪問した。彼女は縁先で、梅の花を竹筒にさしていた。彼女の※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)し方は乱暴で、三本の梅の枝がつったっていた。