Japanische Klassiker mit Furigana
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はいいろのきおく
灰色の記憶
久坂 葉子
Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme
これは悲しい話であった。何故なら、男性への接近は絶対に遮断されていたゆがめられた青春であったから、胸の中に燃え立つもののはけ口がなかったのだ。焼けっ原を見降しながら、山崖の草いきれの中で私達はゆめをみた。現実とは凡そかけはなれたものでしかなかった。日がくれると、私は仮屋へ戻った。計量機の上へ丼をのせ、ほとんど豆ばかりの御飯をついで、大勢の家族はいそいで食べた。日曜日は家の焼跡の整理をした。金庫の中の真珠はすっかり変色してしまっていた。ダイヤやプラチナはぜんぶ政府に提供していたから、真珠位が宝飾品として手許にのこっていたのに、それももう使うことも売ることも出来なくなっていた。父の大事にしていた陶器類は、二三無事であったが、それも、水をいれればもってしまう花瓶や茶碗であった。私の絵の印は、二三コ汚れたまま土の中から出て来た。それは喜ばしい発見であった。絵をかくことをはじめた。それから大勢の家族で句会もはじめた。梅雨の時分の毎夜であった。しかし又、二カ月して八月の六日の空襲でその邸も焼けてしまった。
丁度、兄が入隊した晩であった。制服に日の丸の旗を斜にかけ、深刻な顔付で敬礼して駅頭にたった兄へ、私は肉親への愛情のきずなを感じた。