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Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

十四日の晩に父は家族を集めてそのことを伝えた。私達は更に何も語らなかった。深い感動もなかった。私は、戦争が終ったということをそんなに喜びもしなかった。私の生命に青信号が与えられたかも知れないが、戦争にこじつけて、ある精神的な苦痛の忘却や逃避も容易に可能であったし、考えなければならない自己の行動をそのまま放って置くことを平気でしていたのが、急に、時間や心の余裕が生まれたので、それが、かなり自分自身をみつめることを強いたのだ。私は、それが決して喜びではなかった。かえって大きな苦痛であった。今まで少し考え少し苦しみ、それにはっきりとした解釈をつけないままに通して来た。戦争が、中途半端な結論しか私に持つことをゆるさなかった。仏教に対しても、死に対しても、つきつめるだけつきつめることは出来なかった。それは、案外、楽なことであった。私は、ここで自分が何を為すべきかを考えねばならなかった。

私の父は銃殺されるかもしれないと云った。そして神経衰弱に罹ったように、絶えずいらいらしていた。確かに沈鬱な家庭であった。大豆をゴリゴリひいたり、道端の草をゆでたり、そんなこと以外はお互に何か考えているような表情で笑いもなく毎日を送った。