Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

私達子供は家産がどの位残っていてどんな風な経済状態にあるのかは知らなかった。唯、焼けた私の生家の土地も、本家の邸跡も、六甲の別荘も人手に渡っているらしかった。人の気持が金銭の問題で荒れて来るということは大へん歎かわしいと思った。それに私が女学校を出てから、先生になり度いから上級学校へ行かせてくれと頼んだ時、父母は真向に反対し、女は家で裁縫や料理をするものだとしぶしぶ肯定させられてしまう事件があった。丁度その前に、身体がよくなった姉も更に医者になり度いから医専へ行き度いという申出を拒否されていた。そんなことが益々親子の感情を対立させ疎遠させた。私の姉は、数学が飛びぬけてよく出来、夜通しでも、三角や因数分解をとくことがたのしみの一つだという位、女性に珍しい理科系の頭脳の持主であった。数字をみれば嘔吐したくなる私とは気持の上でも合う筈がなかった。姉はすぐに計算し、計算の上で行動した。私は無鉄砲向う見ずに気分のままで行動した。そしてお互に衝突しながら、衝突した途端に自分をひきさげ、奥までつっこんで行こうとはしなかった。姉もエゴイストであり私もエゴイストであった。