Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

私は、自分の感情だけで自由奔放に生きてゆきたいのだ。それなのに、家庭。学校。社会。すべて自分の感情を抑制し、無視し、自分らしい自分を伸ばすことが出来ないで生活しなければならない。人間とは、何とつまらない生活をしているのだろう。私は何事もする元気を失った。私は数珠を最期的に手から捨てた。私はすでに、神や仏を信じてはいなかった。称号を唱える刹那に於いても、不安と疑いの念がむくむくと心から湧いていた。私はすべてから虚脱状態にはいってしまった。私は仏教の書物を売ってしまった。そのわずかなお金で私は街に出た。街といっても戦後の殺風景なバラック建の店屋である。そして闇市。ここには中国人の濃い体臭と、すえた食物の臭いがぎっしりつまって細い道の両側は喧噪としか思われなかった。私は何か欲しいものはないかと考えた。何もなかった。夕ぐれ、私は絶望と混迷と疲労とで家にかえった。その日から、私は死にたいという衝動的な欲望が連続して頭の中をからまわりした。私は学校をずっと休んだ。国語の教師や、友達が見舞いに来た。私は、死にます、と云った。彼女等は冗談でしょう、と云った。私も苦笑した。