Japanische Klassiker mit Furigana
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ほのおのひと――ゴッホしょうでん――
炎の人――ゴッホ小伝――
三好 十郎
Lesen Sie 炎の人――ゴッホ小伝―― (ほのおのひと――ゴッホしょうでん――) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.035 Zeichen · 207 Bildschirme
間――いつの間にか、室内はすっかり暗くなっている。まだ少し明るい窓の外の広場にガス燈がポツリポツリともっている。
ヴィンセントの声 (背後から。死んだように静かな室内に向って、はじめはほとんど聞えないくらいに低くつぶやくように)いやいや、テオが、あのテオがそんなふうに思っている筈がない。テオは俺を愛している! 俺の絵を良い絵だと思ってくれている! 結婚のじゃまになるなぞと俺のことを思っている筈はない! そんな筈はない! それならば今まで、何かそんな所を俺に示している筈だ。愚痴をこぼしたと言うのは、テオの弱い性質のために、つい、そう言ったのだ。それもキット俺のために良かれと思って、俺のことをゴーガンに頼むために、つい、そう言ったのだ。それをこの悪魔は、こんなふうに言って、俺に毒気を吹き込むんだ!、テオと俺との仲を裂こうとしてるんだ。そうだ、こ奴はマムシだ! ……しかし、もしかすると、テオは、もしかすると俺のことをそう思っているのか? 重荷だと思っているのか? 頭の少し変な兄が、下手の横好きで絵を描いてる、よせばいいのに、よせばいいのに、でもソッとして描かして置かないと、いっそう厄介なことになりかねないから、気休めを言って仕送りをして描かして置く。