Japanische Klassiker mit Furigana
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ほのおのひと――ゴッホしょうでん――
炎の人――ゴッホ小伝――
三好 十郎
Lesen Sie 炎の人――ゴッホ小伝―― (ほのおのひと――ゴッホしょうでん――) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.035 Zeichen · 207 Bildschirme
……しかし、兄さんが悪いためじゃない。兄さんが悪いんじゃない。
ヴィン いいや、俺が悪い! ……俺は実に、自分のわきの人間を、みんなダメにしてしまう。疫病神のような人間だ俺は。現に、絵を描くために、お前にこんな迷惑をかけたり、――(言っているうちに、ちょうど前に置かれた全紙の素描に目が行き)こ、こんな、うす汚い絵を描くために!(ガッとその板を掴んで、片手でその木炭紙を引き裂こうとする)
テオ 兄さん、何をするんだ!(と、そのヴィンセントの手を掴む。その拍子に板が動いて、素描がこちらに向く。シィヌの裸体の坐像)
ヴィン 見ろ! シィヌの言う通りだ。子供のラクガキみたいな、うすっ汚い――(スーッとあたりが暗くなる)
テオ そんなことはありませんよ!
ヴィン (ほとんど泣き声)俺は三十だ。だのに、この通り、まだデッサンひとつ、ちゃんとやれない。……死んだ方が、ましだ。どうすればいいんだよ。え、テオ?
テオ そんな、そんな、気を落しちゃ、いけない! 兄さんには描けるんだ。よく、ごらんなさいこの絵を。ようく、ごらんなさいよ、この絵を。
既に真暗になってしまって、ヴィンセントの姿もテオの姿も、室内の影も全部見えなくなり、「悲哀」