Japanische Klassiker mit Furigana
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ほのおのなかにうたう
焔の中に歌う
野村 胡堂
Lesen Sie 焔の中に歌う (ほのおのなかにうたう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.476 Zeichen · 27 Bildschirme
誰とでも宜しい、相手については、決して文句を言いません、兎に角、一日も早く結婚して頂き度いのです。でなければ、私共の命が続きません。こんな煮え切らない苦みをなめさせられるより、思い切って失恋してしまった方が、どんなに清々するでしょう。この恋の責苦に逢って居るものは、私の知って居るだけでも、五人、七人、いやそんな事でない、どうかしたら、二十人位はあるでしょう。あなたは一体幾つの心臓を要求されるのです」
錦木幸麿の言葉は激越を極めました。その辺に人が居ようが居まいが、思い詰めた貴公子の眼中にはそんな者は無かったのです。
最初の内は、巧みに鋭鋒を避けて、錦木の言葉をはぐらかそうとして居た駒鳥絹枝も、遂にはその熱情的な言葉に引入れられて、俯向いたまま神妙に聴き入って居りましたが、
「錦木さん、お許し下さい、私はわけがあって、どなたも選ぶことが出来ないのです」
「エッ、何を言われるのです、それは何ういう意味です」
「わけは申し上げられません、が、あなたがお苦しいように、私の胸も張り裂けるような思いです」
世にも美しい歌い手は、声をあげてその場に泣き崩れてしまいました。