Japanische Klassiker mit Furigana
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むざんやな
無惨やな
久生 十蘭
Lesen Sie 無惨やな (むざんやな) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.601 Zeichen · 16 Bildschirme
若気のあやまちで、すませばすまされる根のない行状だったのだが、蔵人には、いっさい勘弁がなく、無理に願って姫路へ呼びくだし、納戸にひきこんで一刀のもとに斬って捨て、死体は長持の中へ放りこんでおいた。
二十年来、蔵人に仕えている老僕の話では、納戸の板敷を這って逃げまわるのを、ひと時、立身になって冷然と見おろし、
「死ね」
と一喝するなり、未練もなく首をはねたということである。
八月の末、犬塚又内が江戸へ帰るので、蔵人のところへ挨拶にきた。蔵人は、いつにない鄭重なあしらいで、又内を書院に通し、
「帰府されるについて、チトおねがいの筋があるのだが」
と、うちとけたふうにいった。
「江戸表、同役中へ御用差がたまり、差繰りに骨を折っておる。隠密の御用は、書状ではいけぬから、一通りお聞きあって、同役へお取次ねがう。出立の前に、いちどお出でくださらぬか。それで、出立は何日」
「この二十日に」
「それならば、民部左衛門も誘って、二十日の夕刻から、お出掛けなさい。出府なされば、五六年はお目にかかれぬのだから、用談が終ったら、ゆるりと一献、酌もう。御馳走と申すほどのものもないが、道光庵仕込みの蕎麦切をお振舞いする。