Japanische Klassiker mit Furigana
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むだい(なな)
無題(七)
宮本 百合子
Lesen Sie 無題(七) (むだい(なな)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.717 Zeichen · 4 Bildschirme
この湯槽には、だが幸三十四度の温湯がたたえられてある。黒い東洋の髪をぬらしつつ漬って居るのは自分だ。湯槽の内にも日光は燦いた。時々、地下室の実験用犬の鳴く声が聞えた。
肝臓のために一週二度ずつ沐浴が出来る。何と楽しい課目!
生れて始めて凹んですき間の出来た股を 湯のなかで自分は愛撫した。
壁際の黒皮ばり長椅子に二十歳のターニャが脚をひろげてかけて居る。白い上被りの中で彼女は若々しい赧ら顔と金髪と大きな腹をもった綿細工人形みたいだ。
ターニャは姙娠八ヵ月だ。午後四時まで第一大学附属内科の婦人部で働いた。夜はラブ・ファクへ通ってダルトンプランの教育を受けた。一間に一間半もある大ペチカのある病院の台所の隅で ターニャは代数の方程式を書くのだ。
――お湯ぬるくありませんか
――丁度いい
一寸黙って居たがターニャは愉しそうに伸びをして、両腕を頭の後に組み乍ら云った
――もうじき私、休みを貰う
――いつ?
――明日お医者のところへ行って診て貰ってね、今週のうちに貰えるでしょう
――私の方がのこっちゃったわね
――ニチェヴォー、直きよくなりますよ、
分娩までに二ヵ月、分娩後二ヵ月の休暇を〔約三字分空白〕留の援助金とともに貰うのだ。