Japanische Klassiker mit Furigana
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きせる
煙管
Lesen Sie 煙管 (きせる) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.489 Zeichen · 14 Bildschirme
「おお、とらす。持ってまいれ。」
「有難うございまする。」
宗俊は、金無垢の煙管をうけとると、恭しく押頂いて、そこそこ、また西王母の襖の向うへ、ひき下った。すると、ひき下る拍子に、後から袖を引いたものがある。ふりかえると、そこには、了哲が、うすいものある顔をにやつかせながら、彼の掌の上にある金無垢の煙管をもの欲しそうに、指さしていた。
「こう、見や。」
河内山は、小声でこう云って、煙管の雁首を、了哲の鼻の先へ、持って行った。
「とうとう、せしめたな。」
「だから、云わねえ事じゃねえ。今になって、羨ましがったって、後の祭だ。」
「今度は、私も拝領と出かけよう。」
「へん、御勝手になせえましだ。」
河内山は、ちょいと煙管の目方をひいて見て、それから、襖ごしに斉広の方を一瞥しながら、また、肩をゆすってせせら笑った。
四
では、煙管をまき上げられた斉広の方は、不快に感じたかと云うと、必しもそうではない。それは、彼が、下城をする際に、いつになく機嫌のよさそうな顔をしているので、供の侍たちが、不思議に思ったと云うのでも、知れるのである。
彼は、むしろ、宗俊に煙管をやった事に、一種の満足を感じていた。