Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme
するとある日、岡っ引の職分を利用して、それとなく出羽守の動静を探索していたやぐら下の宗七が、文珠屋佐吉の許へ報告を齎したのには、
「祖父江出羽守が、故郷の遠州相良へ帰って行く。」
ということだった。
出羽のいない江戸に、三人は用はないのだった。
大次郎も千浪を伴い、この駕籠の奇術を道中で演じながら東海道をまっすぐに遠州へ上ることになる。
こういう時こそ煩悩の金魔と化して、煩悩小僧として盗み溜めておいた金を役立てる場合であると、文珠屋佐吉は、手品用の――と言っても、何の仕掛けもないのだが――朱塗りの美しい駕籠を新調して、大次郎に持たしてやると同時に、自分も、その文珠屋の店は番頭の与助に任せて、承知の由公を連れて大次一行の背後から見え隠れ、これも飄々乎として旅に上った。
やぐら下の宗七は。
密偵としての役を果たすとともに、妻のお多喜と一緒に、預っている狂女小信をいたわりながら、この三人は一番後から、東海道を上って行くので。
四つの奇妙な行列の一行が、一日行程ぐらいの間隔をおいて、東海道を西へ、西へ――。
先頭は、国へ帰る祖父江出羽守の大名行列。それから一日ほどおくれて、大次と千浪の手品駕籠の辻芸人、そのつぎは、文珠屋佐吉と承知の由公の主従。