Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

うっ! と呻いてのけ反る父へ、駈け寄ろうとする千浪は早くも、中之郷、山路の二人に、左右の手を取られて阻まれていた。

お山荒れは、ふたたび勢いを盛り返して、雨と、風と、屋鳴りと――それのなかに、頭巾をゆさぶる出羽守の狂笑が、さながら猿のそれのように、高く、鋭く、つづいた。

山頂恋慕流し

谷に聳える露が、ひとつ一つ光り輝いて、まるで、無数の真珠を懸けつらねたよう――。

濡れたみどりが、迫るように息づいて、草と土の香が爽かに立ち昇って、ひがしの空がうす紅いろに色づいて――東天紅を告げる鶏の声を聞くべく、あまりに里離れているけれど――雨のなかを、雨を衝いて登る太陽。

あかつき。

七年目の七月七日、明けの七つ刻に、三国ヶ嶽の山上、三国神社の前に、やがて匂やかな朝が来た。

駿、甲、相の三国ざかいが、ここ小さな三角点に集って、ささやかな平地をなしているてっぺんである。

三つの登り口が相会するところ――三国の鎮め三国神社の古びた祠は、この三角の地形の正面にある。

左右は、底ぶかい渓谷で、杉、蝦夷松、柏などの大木が、釘を立てたように小さく低く覗かれる。だんだんと畝りを作って続く樹の海の向うに、大洞、足柄、山伏の山々――その山伏山のむこう側に、今はない田万里の廃墟があるので。