Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme
」
とお多喜は、まるで相識の人に話しかけるような心易い言葉で、八幡様に向い、なおも口の中で、
「いえね、十日ほど前、どこへ行くとも言わず、着のみ着のままでぶらりと出て行ったきりなんです。どうせどこかへしけ込んで現を抜かしているにきまってます。そりゃあね、女狂いはあの人の病ですから、あたしゃとうから諦めてはいますけれど、ただ一日も早くあたしという女房と、この深川の家を思い出して、帰って来ますようにお願いいたします。遠くへ突っ走りませんように、なにとぞ足どめを――。」
森閑とした朝の神社だ。奉納の石燈籠、杉並木、一直線の長い参詣道――人っこひとりいない。
粋な浴衣に、ずっこけに帯を結んで、白い顔に眉を寄せて一心に拝んでいるお多喜、凄いほど眼鼻立ちの整った、二十五、六の女である。宗七とともに恋慕流しの三味線を引いて、街から街と流し歩くのが稼業で。
その、良人で、商売の相手の宗七がもう十日も家に寄りつかないので、思いあまったお多喜、こうして近くの八幡様へ、毎朝、宗七の足どめを祈りに来ているのだった。
最後に、調子よく柏手を打ったお多喜が、くるりと踵をめぐらして社前を立ち去ろうとすると、