Japanische Klassiker mit Furigana
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くまのでるかいこんち
熊の出る開墾地
佐左木 俊郎
Lesen Sie 熊の出る開墾地 (くまのでるかいこんち) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.070 Zeichen · 31 Bildschirme
風が出て来たのだ。
「うむ、うむ。だからやるのさ。一ぺんで、親父の仇を取って、開墾場の人達みんなを助けて、その上自分の恨みを晴らせるのだもの……」
「あ、やってやるとも!」
雄吾はそう言って膝の上の猟銃を撫でた。
「その上、貴様、母親とも一緒に暮らせるようになるじゃねえか。なあ、そうだろう?」
「あんな、人でなしの母親なんか、どうでもいい。」
「いや! しかしな、貴様からお母さんに話して、この開墾した土地を、我々の所有にしてもらわねえと困るからな。そこを頼むわけなのさ。」
「併し、世の中ってそう調子よく行くものかなあ。俺、やっつけたら、自分も死ぬ覚悟なのだ。」
「だからさ、馬車に乗っている者を撃っちゃ、熊だとは言われめえってことさ。いいか。そこをよく考えて見ねばならねえんだ。」
落ち葉がまたばらばらと散った。白い煙が横に漂うた。風が勢いを得て来たのだ。そして原始林の中には静かに夕闇が迫って来ていた。
*
開墾地にはその年も、そろそろ熊の出て来る初冬が近付いていた。
闇夜だった。まだ宵の口だ。開墾地に散在している移住者の、木造の小屋からは、皆一様に夜業の淡い灯火の余光が洩れていた。